【家でできるマッサージ】脳梗塞後遺症に対するアロマの効果

脳梗塞とは脳内の血管が細くなったり、血栓ができ、血管が詰まるなど、脳へ酸素や栄養が行き渡らなくなり、様々な障害が生じることを言います。

脳梗塞の後遺症が残ることが多く、その症状は身体麻痺、めまい、ろれつが回らないなど様々で、患者の症状に応じてリハビリを行います。近年ではリハビリマッサージ(トリートメント)の一環としてアロマセラピーを取り入れるという取り組みが注目されつつありますが、どれくらいアロマセラピーが脳梗塞の後遺症に有効なのかを、実際に行われた症例報告を元にご紹介します。また、お家で簡単に行える下肢のトリートメントもご紹介します。

リハビリトリートメントに有効だとされているアロマ

  • グレープフルーツ:循環不全緩和
  • ジュニパーベリー:循環不全緩和、むくみ
  • シダーウッド:手背・手指のむくみ、冷感の緩和

今回の症例報告でもこちらのアロマを使用し研究されています。

脳梗塞後遺症に対するアロマセラピーの症例報告

本アロマセラピー学会 症例報告書 p74 引用

いずみの杜診療所 桑原弘美

目的

脳梗塞の患者は、麻痺や循環不全によって伴う冷感、浮腫等の諸症状、様々な精神的、身体的苦痛を伴っている。そのような諸症状の緩和、ADL拡大を目指した結果、QOLを高めることに繋がった症例を報告する。

材料と方法

85歳、男性、基礎疾患に高血圧、糖尿病、大腸癌(人工肛門)、脳血栓(左側麻痺)もある患者。トリートメント体位は腹臥位にて施行。手技は日本アロマセラピー学会看護研究会の基礎マッサージを基本に、20~30分かけて背部〜上肢のトリートメントを、週2回×6ヶ月施行。キャリアオイルをスイートアーモンドオイルを使用した。

①開始時は循環不全によるものと思われるチアノーゼを見られていたため、循環不全緩和を考慮し、トリートメントを施行。グレープフルーツ 0,1ml 、ジュニパーベリー 0,1ml 、スイートアーモンド油 10ml 使用。

②チアノーゼが緩和されてくる。手背・手指のむくみ、冷感の緩和を考慮してのトリートメント施行。シダーウッド 0,1ml 、ジュニパーベリー 0,1ml スイートアーモンド 10ml 使用。

結果

  • 手背・手指の冷感も改善されADLの拡大、関節可動域の拡大がみられた。
  • 手背・手指の循環不全によるものと思われる諸症状は改善され、筋力アップにつながった。メンタル面も安定し、リハビリに意欲的に取り組むことができた。
  • 主観的、客観的に見て明らかに諸症状の緩和が見られた。
  • BSステージ(ブルーストロングステージ)Ⅴ→Ⅵとなった。
  • 本人、家族の満足度が非常に高いものとなった。

考察

諸症状を改善すべく選択した精油でトリートメントを施行したことによって、トリートメント中より内面の不安を吐露できる信頼関係を築くこともでき、精神的にリラックス効果も得られていたようです。その結果、普段のリハビリにも意欲的、前向きに取り組むことがき、アロマセラピーによるトリートメントとリハビリの相乗効果によって、筋力アップ、ADL拡大につながったと考えます。

リハビリトリートメント方法 〜下肢〜

誰でもできる簡単の方法でまとめました。

【押す】【揉む】【引っ張る】などせずに触れる、さするが基本です。

①患者様には伏臥位になってもらう。

②両手で足首から太ももに向かって一直線にトリートメント。3セット

③片手ずつふくらはぎ→太ももの順に上へトリートメントします。8回×3セット

④くるぶし辺りを親指でくるくると回しながら軽くさする

⑤足首から両手で包むようにしてねじるように太ももまでさする

まとめ

今回は下肢のトリートメントのみご紹介しましたが、また全身のトリートメントもご紹介できたらと思います。アロマを使ったトリートメントは患者様の精神的なストレスや不安を取り除く他に、体を温めてくれる効果があります。治すマッサージとは思わず、一つのコミュニケーションとして試して見てはいかがでしょうか?

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